9月20日の日報(vol.1749)
- 2025/09/20
- 松本満
たった2年で見えてきた想定外の現実。
今日は知り合いの不動産社長から、投資用ワンルーム売却についての査定相談を受けた。オーナーから預かった物件資料一式をメールでもらい、内容を確認したところ、エリアこそ悪くないが、築30年近いワンルーム。しかもサブリース契約付きで当然、オーナーからは解約できない。そして実はこの物件、購入からまだ2年ほどしか経っていないという点。そのため購入時の資料も送られてきてあり、まず当時の重要事項説明書をチェックしてみた。
すると、管理費・修繕積立金について値上げ検討中の記載が・・そういうリスクがしっかり説明されたかどうかは不明だけど、少なくとも書面では認識されていたはず。さらにローン返済予定表を見てみると、2年前よりも金利が上がっていて、月々の返済額は数千円増えている。サブリースの家賃は変わらないけれど、今の時点で月3万円前後の持ち出しが出ている計算になる。この先、本当に管理費や修繕費が上がり、金利がさらに上昇したらどうなるか・・
絵に描いた餅の運用シミュレーション。
さらに添付されていた購入時の運用シミュレーションも見てみた。これがまた相変わらずひどい。30年間家賃は変わらず、管理費も変わらず、返済金利もずっと変わらないままという夢のような数字が並んでいた。おまけに、10年・20年・30年後には物件価格が上がっている前提のキャピタルゲイン付き。こんなシミュレーションが未だに存在していて、それを根拠に購入を勧められているのが投資用ワンルーム業界の現実。もちろん、ワンルーム投資自体が悪いとは思わない。自己資金なくフルローンで投資物件が持てるということはメリット。だけど、そもそもマイナス収支で持っていくという時点で一般的な不動産投資とは違う商品。
だから多くの投資用ワンルームは、何処かで繰り上げ返済するなりして、自己資金を入れなければずっとマイナスが膨らむまま。もちろんたまたま買った時代によっては、その後相場価格が上がり結果的にプラスになる可能性は0じゃない。でもそれはただの運だし、少なくとも今回のこの築年数のマンションではそれは考えづらい。こういう楽観的(販売に都合の良い)すぎる数字と未来予測を真に受けて買ってしまうと、いざ現実が違ったときに、いつか持ちきれず手放すことになる。今回のオーナーのように、たった2年でこのままでは危ないと感じてしまうのはその答え。だから進められるがままにではなくて、自分で知識を付けたうえでリスクも計算して考えられる人だけが、成功するのだろうし、少なくとも大きな損はすることはないはず。