7月4日の日報(vol.1717)
- 2025/07/04
- 松本満
評価額が出揃ってきた2物件の共通課題。
月初に評価出しをしていた2件のワンルーム物件の価格査定が揃ってきた。ひとつは築年数が古くしかも駅から徒歩10分超え。予想はしていたが、評価はやはり厳しめ。業者によってはそもそも対象外として取り扱わないところも多かった。もう一方はものすごく築浅や駅近というわけではないけれど、これまでの成約事例からしても想定内の評価額には纏まってきてはいてまだ希望が持てる。とはいえ、この2件には大きな共通のネックがある。
それはサブサブリースになっている可能性。まだ確認中ではあるけれど、現オーナーと入居者の間に2社の管理会社(=転貸人)が介在している可能性があるということ。つまり、現行のサブリース契約が解約できないだけでなくその先にもサブリース会社経由でしか賃貸ができないという構造。こういう契約形態になってしまうとそもそも買主はかなり絞られる。なぜなら再販後に自社でも管理(もしくはサブリース)を考える業者にとっては、この契約スキームでは旨味もなくリスクになるから仕入れ物件としては対象外。
囲い込み型サブリースの行き着く先は。
いまや新築よりも中古流通が多くなっている投資用ワンルームのマーケット。その中で、こうしたサブサブリース型の物件が着実に増えてきそう。一見、物件を抱えているサブリース会社にとってはメリットが大きい。オーナーも賃借人もすべて自社内で完結できれば手数料も管理料も最大化できるし買い戻しも有利。うまく考えた囲い込み戦略ともいえるのかもしれない。ただ、一方でそれが物件流通の阻害要因になっているのも事実。実需と違って投資用ワンルームの売買取引は次の買い手も業者というケースが大半。
だけど仮に利回りや銀行評価は折り合ってもサブリースの契約構造が複雑だったり、売買や管理の自由度は著しく制限されているから敬遠される。だから、長い目で見てサブサブリースが主流になってしまえば、物件の流動性そのものが下がる可能性が高い。売りづらいし、評価もつかないという事例が増えれば、いずれ市場全体の信頼も損ないかねない。売主側に立って売買仲介をする者としてやりづらいのはもちろんだけど、投資用ワンルーム業界全体にとっても本当にこれでいいの?って考えてしまう。