2022年に地価は暴落する!? 生産緑地の2022年問題

2020/01/12





「2022年問題」をご存知でしょうか?
 
2022年以降、都市圏に点在する農地の一部が宅地として売りに出されることで、供給が増え「不動産価格が下落するのではないか」と危惧されている問題です。
 
今回は生産緑地の2022年問題を解説、市場にどれほどの影響があるのかを予想していきます。
 
 

■2022年問題とは■
 
1970年前半までは、「市街化区域(都市化を勧める区域)」が定められたことで、都市化が進み、緑地が宅地(住宅用の土地)として売りに出されることが増えていました。
 
これは農地についても例外ではなく、都市において緑地や農地の減少が加速していたわけです。
 
しかし、市街化区域内でも、古くから農業を続ける人から「農地として維持したい」との要望や「市街地にも一定の緑地を保全すべき」という社会的な要請を受けて、1974年に「生産緑地法」が制定され、市街化区域内でも農林漁業の継続が可能となりました。
 
さらに1991年には同法が改正され、「生産緑地」に指定された農地は建築物を建てるなどの営農以外の行為が制限されるようになりました。
 
その代わりに固定資産税が軽減され、また相続税の納税猶予が受けられるなどの優遇措置が取られようになりましたが一旦指定を受けてしまうと、生産緑地の所有者が亡くなる等の理由で農業を辞めるか、あるいは指定を受けた日から30年経過するまでは、買取りの申請や売りに出すことはできなくなりました。
 
つまり2022年で30年が経過し、固定資産税や相続税の優遇措置がなくなることで、生産緑地の指定が解除された農地の宅地化が進む可能性が非常に高いということです。
 
 

■生産緑地の指定解除の影響■
 
もちろん、2022年に営農義務が外れても誰もがすぐに買い取りを申し出るとは限らず、引き続き農業を続ける者も少なからずいるはずです。
 
生産緑地のほとんどが一気に宅地へ転用されることはないとは言え、生産緑地の所有者の多くは高齢者と見られ、近い将来農業を継続できなくなるかもしれません。
 
自治体による買取りはあまり期待できそうになく、そのまま生産緑地が解除されれば、固定資産税の軽減がなくなり、一気に税額は跳ね上がることになります。
 
500㎡以上もの土地の固定資産税が宅地並みになれば、あまりに高額となるため、相続対策として、土地の売却やアパート建設などを検討するケースは年を追うごとに増えていくと予想されています。
 
2022年以降、売却などで一斉に生産緑地を手放す所有者が続出する可能性を、ハウスビルダーやマンションデベロッパーは大きなビジネスチャンスとして虎視眈々と狙っているのです。
 
広大な土地が利益追及の不動産会社に売り渡されれば、当然のことながら供給過多となり、結果不動産価格や賃貸物件の賃料が大きく下落しかねません。
 
2014年のデータによると、東京都だけでもドーム724個分の生産緑地があります。
 
もちろんそのすべてが解除されることはなく、土地開発の際には道路用地も必要なので宅地の有効面積はもう少し小さくなりますが、仮にこの土地に新築一戸建てが建築されれば、東京都だけでも25万戸以上が供給されることになります。
 
賃貸アパートや賃貸マンションなど集合住宅であれば、賃貸物件の供給戸数も一気に増え、需給バランスを大きく歪めることになりかねないのです。
 
しかし、実際は駅徒歩10分圏内にあるような生産緑地は少なく、本来はそのほとんどが収益物件としては適しません。
 
投資物件への過大な融資を問題視する金融庁が引き締めの方向へと舵を切ったこともあり、金融機関サイドも賃貸需要が見込めにくい場所への融資は控えるようになるはずです。
 
また昨今、マンション在庫のだぶつきを受けて、売れ残りを恐れるデベロッパーも、優良立地以外には触手を伸ばさないでしょう。
 
つまり、生産緑地跡に集合住宅が無法地帯のように乱立するという状況は、現実的には想定しにくいと考えられます。
 
資産価値を重視して、立地条件のいい住宅や投資物件を選びたい人にとっても、そもそも都心や駅近には生産緑地がほとんど存在しないので、地価にしても賃料にしても「2022年問題」はあまり関係ないと言えるでしょう。
 
 

■影響が大きいのは都市郊外■
 
影響を受けるとすれば、すでに郊外にファミリー向けの住宅、マンションを所有している投資家やいずれ持ちたいと思っている人たちになります。
 
ファミリーは車を持っていることが多いため、駅から離れても賃貸としての需要がありますから、生産緑地の地主が跡地にファミリー向けマンションやアパートを建てれば、すでに賃貸物件を所有する人にとっては空室が増加し、賃料の下落圧力が高まるというリスクが想定されます。
 
同様に、一戸建てもファミリー向けの物件では駅徒歩〇〇分といった概念はあまり通用しないので、デベロッパーやハウスビルダーは広い土地を買い取って区画整理し、分譲戸建てとして売り出すでしょう。
 
低廉な新築戸建てが乱立すれば、将来家を買いたい人は安く買える一方、すでに所有している人にとっては自宅の資産価値の下落が待ち受けています。
 
戸建て賃貸をしている投資家にとっても、その物件は一般の戸建てより低コスト・ローグレードな仕様であることが多いため、魅力度で負けやすく直接的な競合になる恐れがあります。
 
 

■最後に■

投資家には自治体や業者の動きや地主の判断をコントロールすることはできませんから、2022年以降の環境変化をしっかりと見守ることが肝心です。
 
自分が売りたいときには、みんなも売りたがっている場合が多いことを踏まえ、2022年以降になって慌てて選択肢が狭めてしまう前に、「売れる時に売っておく」という判断も必要です。
 
郊外にすでに持ち家を所有している人、投資物件として賃貸アパートやマンションを所有している人、将来的に戸建て住宅の購入を考えている人は、「2022年問題」のリスクをできるだけ回避し、大きなチャンスとして生かしたいものです。




                                 



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